クリスマスという言葉だけで、そうさせる。
同居人がさっきからマライアキャリーの恋人たちのクリスマスを流している。
なぞである。
今宵はクリスマスであったのかと人から問われれば、そのような気がする。
幼い頃は頭の中で、クリスマスと天皇誕生日が混在していたような気がする。
僕は平成生まれだ。昭和天皇の誕生日は4月29日だったので、昭和の人はこんがらがることはなかっただろう。そもそもクリスマスを祝う習慣が、浸透していなかったかもしれないけれど。
クリスマスに一番近い日曜日には教会で、イエス誕生の劇をやった。
ある時は羊飼い、ある時は夫ヨセフ、ある時は東の賢者、ある時はガブリエルであった。
東の賢者を演じるのが一番好きで、黄金・乳香・没薬のどれかが入っている設定の、金に塗られた空の箱を、大切に抱えられるのが嬉しかった。
クリスマスの日には居間にプレゼントが置いてあった。
ある時はラジコンカー、ある時はレゴブロック、ある時は天体望遠鏡、ある時は顕微鏡と実験キットであった。
レゴブロックが一番嬉しかく、天体望遠鏡と実験キットはどうやって楽しめばいいのか分からず持て余していた。
懐かしく思う。