『ああ、ぼくの何もしないのが、たんに怠惰のせいだけであったなら！』
とは、地下室の手記からである。
それから『たとえ怠惰にせよ、自分のうちに何かをもちえたとならば、尊敬したくもなるではないか』と、なる。
いま僕が何もしていないのは、僕の怠惰せいではないし、僕が病んだ人間であるからでもない。
やる気はあるのだ。
やらなければいけないとも、ひしひしと感じてはいるのだ。
でも、だめ。もう、だめ。
タイムリミットである。
畜生。
逃げ出す勇気もないし、それは勇気とはいわないし、つーか、むしろ、立ち向かう勇気がない。
なんつってもう意味のない問答ばかり、どうする、どうなる、落ち着こう、楽にいこう、深刻に考えれば考えるほどそのことを後回しにする癖がついているのかもしれないからテイクイットイジーでマジぶっ殺すみてえないいやもうそういうのはいいようるさいよ。
深刻に考えるのよして、真剣に考えてみよう。
ああ、ちょうど三日ぐらいの時間が戻ったら、なんてもう思考停止じゃないか。
それに、どうせ７２時間タイムリープしたところで、同じことを繰り返すのがオチである。
それは学習しないのではなく、なんだい畜生と、意地を張るからだ。
なんかそういう感じになったらそうするしかないよね的なのに対する、反骨とは名ばかりの、なんだ、僕にもわからねえよ、それは、そんな気持ちは。
この気持ちはなんっだろ～～～～
地獄かよ。
そういう地獄ループ、同じ時間を繰り返していないだけで、結局、何度もやっているんだ。
ああ、そういうことにしよう。
『あいつは何者だ？　と問われて、地獄ループ主義者だ、と答える。自分についてこんな評言を聞けたら、さぞかしたのしいことにちがいない。なにしろ、積極的な評価が定まり、ぼくについていわれるべき言葉ができたのだから。＜地獄ループ主義者！＞――これはもう一個の肩書きであり、使命であり、履歴でさえある。冗談にしないでほしい、事実、そうなのだ。』