なつかしく、初々しいはなしをしようか。
我が家にパソコンがやってきたのは、高校一年のおわり頃だったと思う。
つまり、16歳のときだった。ちょっと、遅めかもしれない。
携帯を手にしたのは14歳の夏だった。中3だった。
買ってもらいたてのころ、なんとなくリビングで携帯をいじるのが恥ずかしくて、部屋でこっそりいじっていた記憶がある。
はじめて射精したのも14歳のときだったが、これは中2のことだ。ちょっと、遅めかもしれない。
イッた。という感覚はなかった。気づいたら、出ていたのだった。
それまでも「シコる」という行為はしていたから、精通のときはすこし驚いた。
はじめての射精は、タモリ倶楽部だった。
例の、ケツがばいんばいんするオープニング。ではない。
空耳アワーのコーナーだった。
日本地図が都道府県ごとにシールになっていて、それを剥がしてゆくとみるみる女体が露になってゆき、最終的に一枚のこった東京都のシールが、ちょうど女性の局部の部分を隠す格好になっており、ここで空耳「東京都見たーいね♪」
これで、抜いた。よく抜けたなオイ。
たしかリアルタイムではなく、録画したものを次の日の深夜に見ていて、もてあまし気味にチンコをしごいていたら、出ていた。のだった。
ちなみに、この半年あまり後に『東京都』に指を突っ込むことになるのだが、これはまた別のおはなし。
当時のぼくは、なかなか『東京都』が見れない環境で生活していた。
はじめに書いた通り、我が家にパソコンがやってきたのはぼくが高校に入学してからだ。
この前、なんの気無しにグーグルで「マンコ 画像」と調べてみたら。
出るわ出るわ。『東京都』で画面が埋め尽くされた。
これをもって、今のキッズは恵まれてんなあ、なんて言うのは早計ではあるが、少なくとも簡単に『東京都』が見れる環境が整っているというのは、すごい。
ぼくの場合、そうはいかなかった。
あの日、タモリ倶楽部のおかげで真のオナニーをおぼえたぼくは、週一回ほどのペースで各地のゴミ収集所を自転車で確認して回るようになった。
エロ本採集である。『東京都』を求めて。
ただし、とんでもなく打率は低い。
走って走って、結局一冊も見つからないなんていうことはざらだった。
というか、それがほとんどだった。
だから、『それっぽい本』を見つけたときの喜び・感動はひとしおなのだ。
なかでも一番お世話になった『それっぽい本』がある。
性にまつわる短編を集めた漫画だった。
実は昨日、その漫画をブックオフで入手した。105円だった。
作者のネームプレートが用意されていたし、結構有名な漫画なのかもしれない。
そもそも、成人漫画ですらなかった。
榎本ナリコ『センチメンタルの季節1』
連載誌はビッグコミックススペシャル。
初版は1998年の6月1日。へー。
実は、この漫画の存在は結構前から気づいていた。
どこのブックオフにも置いてあるからね、105円で。
ただ、手に取ってみるに至らなかったのは「もうちょっと寝かせたほうがいいかな」と考えていたから。というのがひとつ。
それから、ちょっと怖かった。というのもある。
こんなんで抜いてたなんて若かったなあ。なんて思ってしまいそうで。
それじゃあ、なぜいま買おうかとおもったのか。
むかしお世話になった漫画をながめて、感傷に浸りたかった。
断じて違うわボケ。
ここ最近、ちょくちょく思い出すからだ。
あれ? あの漫画けっこう面白かったんじゃねえか? って。
買って、読む。
短編集なので、あんまり面白くない話もあったけれど、
いくつかグッと来るはなしもあった。良い。
こんなんで抜いてたのか、とは思わなかった。
抜こうと思えば、今だって抜ける。
ただ、これがエロ本として機能してたんだな、ということにはすこし笑えた。
たとえば山本直樹の漫画『ありがとう』とかも、そのくらいの時期に読んだら「エロ本」として消化されていたのかと思うと、可笑しい。
『センチメントの季節』は、どうやら春夏秋冬の四巻編成らしい。
そのうちぼくがお世話になったのは、最初の一巻だけなので、全部揃えようか迷う。
それなりに集めてみる価値はある漫画かもしれない。
とりあえず、買ってきた秋の章は、本棚ではなくベッドの下に仕舞った。
中学のときからベッドは変わっていない。