闘いである。
空が明るくなる時分にようやく眠りについた。
暑くて寝苦しいなと思っていたところの、蚊だ。
闘いであった。
眠り着こうとすれば、耳元に羽音が襲来。
条件反射的に全身がむず痒くなるし、すでに何箇所か刺されたあとなのかもしれない。
全力で耳付近を叩く。鼓膜にダメージを与えないよう配慮しながら、叩く、殺す、殺したい。
全身の痒みや違和感を覚えるところを隈なく、叩く、殺す、殺したい。
ママは言ったんだ。「神様は何一つ無駄なものをお創りにはならない」だから生き物、食べ物、機会、縁、困難、苦しみ、何だって、無駄にしてはいけないよって。
蚊と有益性について。
遠くブラジルという地には、蚊の目玉を用いた民族料理があるらしい。
私は私の血を惜しんでいるわけではないのです。私は彼らに文字通り搾取されているという気がしているのです。私は寝る必要性がある。それは生きるために。私の生活だ。それを彼らは彼らの生活ために奪い取ろうと言うのだ。ならばどうする。戦争でしょ。
吠えた。暗闇だ。彼らの姿は見えない。見つからない。振り上げた拳は、行き所を失くして虚空を打つ。震えるからだを押さえつけて、また横になる。まどろみかけたその時、また……

ぷうんぅぅぅぅうぅぅぅぅうぅぅん

かかってこいオラ！てめえこそこそしてんじゃねえぞコラ！出るとこ出てマジでマジだぞこの野郎！殺す！まじで殺す！部屋中にバルサン焚いて心中覚悟でも殺す！お前まじでもうまじで本当にもうよう！がーーーー！すこぶる眠い！眠いったら眠い！死ね！眠い！

今晩筆者の運命や如何！？
乞わぬご期待、乞う安眠祈願！
へいへい！