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ティラノサウルスによろしく

初音ミクは変わらずにスマイル

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初音ミクは変わらずにスマイル

妙に人が多い。中には小学生くらいの子どももいる。
オイ、学校行けよ。ってきょうは休日か、秋葉原。




◆遅刻は厳禁です。面接ないしは説明会会場へは最低でも30分前には到着するようにし、10〜5分前になったら実際に会場に入りましょう◆

まさか寝坊するとは思わないよな。
だって、9時半に秋葉原に着いていればいいんだもの。
8時に目を覚ましたって余裕で間に合うんだから。
でも、9時に起きちゃったら仕様がないよね。
嘘だろ!? って思ったね。でも嘘じゃないわけ。
めちゃくちゃ頑張ったけど、秋葉原駅に着いたのは9時55分過ぎで、会場のビルに駆け込んだのは9時58分で、エレベーターのボタンを押して中に乗り込んだのが9時59分で、8階に到着したのも9時59分で、会場の扉を開いたのが10時ジャスト。
当然、もう説明は始まっていて、つまり、
ジャストは、遅刻だぜ。
怒ってくれ。叱ってくれ。どうして遅れたんだと問いただしてくれ。
ればよかったのだけど、いやらしいほどの親切な対応リフトオフ。
俺はまごつきながら出来損ないの履歴書をリフトオフ。
白痴のような顔をして説明を聞き、適正診断テストなるものを受け、
そうして、挨拶そこそこに、外に出る。
秋晴れ。
日差しは強いが柔らかい。
スーツを着ていても、涼しい。
「お前なに遅刻してんだよ」
と笑いながら言うのは、研修のときいっしょのグループだった男。
「いやね、朝起きたらさ、9時だったんだよね」
「ええー、オレ9時にはもう着いてたよ」
そらそうだろうな。俺だってそうしたかったさ。
秋葉原UBXを正面に、エクセルシオールカフェの灰皿にお世話になる。
巨大なガラス張りのビルに、秋の日差しが反射して眩しい。
ふと、親子連れの子どもがたくさん歩いていることに気づく。
「ああ、きょう休日か」
「え?」
「いやなんでも無い」
煙草を灰皿に投げ込む。
初音ミクの巨大な看板は、今日も変わらずにスマイル。

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