たかだか小銭の話。
暇つぶしに、なんとなく喫茶店に入ってしまうことが多い。
今日も喫茶店にふらふらと入ってしまい、店で一番安い200円のコーヒーをオーダーし、ああ、いやだな、どうせ喫茶店に来たって本読むくらいしかすることないんだし、ああ、無駄な出費だなあ、でもまあ来ちゃったもんは仕様がねえから、とりあえず本でも読もうかな、とバッグの中を漁ってみたら、肝心の本が無い。ベッドの上に置き忘れてきたらしい。どっしぇー。
しかし考えようによっては好い機会。
いま読んでいるのは大江健三郎の『ピンチランナー調書』という小説で、これがなかなか読むのに神経を使う。有り体に言えば、むつかしい本なのである、ぼくのおつむじゃ。
ちょうど、一気にブワーッといける本を読みたいところだったし、近くのブックオフで「あの本」買ってこよう、といったん外出。
「あの本」というのは、最近本屋で見かけて少し気になっていたもので、なんで気になったのかというと、帯コメ。宮部みゆき、伊坂幸太郎、小島秀夫がそれぞれ絶賛のコメントを寄せていて、正直ぼくは伊坂作品は「アヒルと鴨」くらいしかしらないし、小島さんで言えばメタルギアも2までしかプレイしてないし、宮部さんの小説は一作も読んだことないのだけど、こういったビッグな方々から称賛されているんだからきっと面白いんだろうと、ほとんど思考停止に近い推測を立てていたのです。
きっとあの本は面白いぞー! と息巻いてブックオフへ。
105円の棚を確認してみるも、ない。
んーそれじゃあしょーがねえやと違う棚、あったあった、やっぱり人気作家なんだよ、うわーでも400円、400円かー、ただでさえ喫茶店でわざわざ金払ってコーヒー飲んで、その上400円かー、でもここで買わなきゃ本無しだからなー、それこそ意味ねえよなー、なんていろいろと思案を巡らせて、結局購入するに至ったのですが、うん、買って正解。まだまだ序盤だけれど、すごく面白いです、伊藤計劃『虐殺器官』。
結果的に良い買い物ができたし、ちょっとお金はもったいなかったけど、まあよしよし。
上機嫌で帰り際、こんどは家の近くのブックオフに立ち寄ると、おんなじ本が105円。つあー。
よくある話だと思うのだけど、これが一番堪えるな。
たかだか300円弱だけれども、ずっしりくるのです。