冬、夏みかん、味、淡白なりて
机の上に、友人からもらった蜜柑がある。
細長い形をしていて、蜜柑というより、オレンジという感じだ。
太陽の光りをからだいっぱいに浴びて、元気よく育ちました!
そんな清々しいまでの、オレンジ色である。
あれは映画の中のワンシーンだったか、小説の中の一節だったか、
登場人物の中に作家がいて、いいアイデアが浮かばず、筆が止まってしまった時に、机の中からオレンジを取り出して、気が狂ったようにその匂いを嗅ぎまくるという描写があった。
なぜかその描写をだけを覚えている。タイトルも、話しの内容も、なんの媒体を通して見たのかも覚えていないのに。
そして今、私は一心不乱にオレンジの匂いを嗅いでいる。
うっそー、もう食べちゃった!!
ああー、たまんねえなあ。